【CD】The Yellow Monkey『9999』


「新生イエローモンキー」



ってことに尽きるんじゃないの?

















流石に再集結後3年も時間が空くと、小出しにしてきた曲に関しては耳が慣れてる分、全体的に“新鮮味”という点では若干落ちるが、逆にそれ以外の曲にはそれぞれの面白さがあって、イエローモンキーという幅の中ではあるけど、その幅が拡がったとも、幅を越えたとも言えるくらい、ある種のカラフルさがある。

まあ、前作から19年も時間が経ってりゃ、いろいろ試しながらじゃなきゃ新譜は出せないだろうし、単純に再集結すればいいってもんじゃなく、やっぱセールス的なこともある程度は考えて安全策も必要だろう。いきなし「オール新曲」っていうのは、ホントに怖いだろうからねー。

それにしても、1曲目の最初のギターの音を聴いた瞬間は、まさかのダークサイドで始まるの?なんて思った次の瞬間、、、思わず「大滝詠一かぁ〜い」とツッコミを入れたくなるドラム(ひ)。

なんか、昔の吉井くんは歌謡曲のテイストがあったけど、今作では歌謡曲って言うより、いわゆる“J-POP”と呼ばれる以前の“ニューミュージック”のかほりが漂ってる感じで、ちょっと変化したのかなぁ?まあ、これはこれで面白いんだけどね。

カラフルっていう意味では「エロっ」ってのもあれば、すごくストレートなのもあったりするし、逆にこういう仕上がりのアルバムになってしまえば「ALRIGHT」なんて、旧イエローモンキーを色濃く放出してるくらいに感じる。

ただ、結果としてというか、半分皮肉になってしまうけど、リリース前に発表された曲以外は、吉井くんがソロでやってもおかしくないような、、、“バンド”っていうより“ソロ”って感じの曲が多いかな、、、でも、ソレはソレ、結局のところ、このメンバーで形にするとなんだかんだイエローモンキーになるんだよなぁ、的な?

もっとも、そういう意味で言うなら「HORIZON」も初?エマちゃんの作詞作曲をイエローモンキーでやったわけだけど、いやさ、頭の中でエマちゃんの声をイメージして聴いてると、この曲はエマちゃんが自分で唄うの前提で作ったのかな?なんて、思うくらい(特に、裏声になるところなんて)ビタッとはまると思うんだけど、ロビンちゃん(♂)が唄うと、やっぱイエローモンキーの新世界って感じに聴こえるんだよねっ。

だからこそ、やっぱしロビンちゃん(♂)の声はイエローモンキーの顔なんだなぁって思わずにはいられない。

前回の新録ベスト盤で聴かせた、菊池兄弟の幻惑とヒーセの安定感にロビンちゃんが追い付いたってことかもしれん。

今作の仕上がりの良さから気が付いたんだけど、前作でなんでロビンちゃん(♂)だけテンションが違うように感じたのか?

旧イエローモンキーの曲って20年くらい前?なわけでしょ。流石に、当時の感情とか勢いとか人生観とか、同じじゃいられないよね、特にヴォーカルは時間が過ぎることでその辺の変化は他のメンバーより大きいだろうし。
何より、今作でヴォーカルに関して不満なんてないんだよね。

て、ことは、ロビンちゃん(♂)のヴォーカルって“今”にフィットしちゃってるってことなんだろう。

ここ最近、プロモーションでいろんなテレビ番組に出演して唄ってたけど、昔の曲より今作の曲の方が断然いい感じだし、特に「I don't know」の“灰になったとしても〜”の“灰に”の部分でのロビンちゃん(♂)の「息み方」がさ、なんか、ゾクッとくるくらい、むしろアルバムよりもカッコよく唄えてるんじゃないか?って言いたくなる。
旧イエローモンキーの曲も、テレビよりもライヴの方がよりいいモノになるような気がするっすねー。

なかなか、時間がなくてヘッドホーン・ヘッドオンで聴き込んでないから1曲1曲レビュー出来ないけど、1曲だけ、今もちょっと触れたけど「I don't know」に関して、メンバーも思い入れが強い曲だと思うが、最初、ウェブで公開されたMV観た(聴いた?)時、イマイチ盛り上がらねぇ曲だなぁって思ったけど、テレビで聴く度、アルバムを聴く度にどんどん深くなってく。

アルバム通してだけど、ホントにエマちゃんのギターの進化?深化?変化?って、旧イエローモンキーの頃と違って、すごく「エグい」音になったなって思うんだよね。
やっぱさ、オレの中では幾多の外タレを差し置いてシャケがナンバーワンなわけ、でも、今のエマちゃんの音のエグさって、シャケに匹敵するんだよね。
シャケのクリーンな歪みから繰り出す独特の音も好きだけど、エマちゃんの出すエグい歪みに圧倒される。
なんか、ブライアン・メイのレッドスペシャルのエグさに匹敵するくらいに。
それが、「I don't know」ではそのエグさが派手になりすぎず、でも肝心なところでは鷲掴みにするしで。

実はさ、初めて「ロザーナ」聴いた時、アニーのハイハットの繊細なアレンジに面喰らったのね。そしたら、他の音が聞こえないくらい意識がハイハットとシンバルの音にロックして、、、それでドラム全体でアニーの音の質がなんて言うか、無駄な部分が削ぎ落とされた感じがして、軽やかだけど、決して軽いわけじゃなく、力任せのハイパワー感は消えたかもしれないけど、スネア、タム、ハイハット、シンバル全部の響きが絶妙なバランスで、激しくてもメローでもブレない感じ?
だからだろうけど「I don't know」での気持ちがグッと入ってるけど、肩の力が抜けてシンプルなのに一音一音の存在感が気持ちいいんだよね。

ヒーセって人はすごく不思議なところがあってね。ソロだといろいろ「Mr.TOO MUCH」になっちゃうのに、イエローモンキーだとすごくバランス感覚に優れたベーシストになる。
前にヒーセの安定感がイエローモンキーの屋台骨だって書いたけど、安定感って一言で言っても、悪く捉えれば「変化がない」みたいに受け止められるかもしれないけど、実際のところ菊池兄弟の進化を絶妙のバランスで受け止めた上で、抑えるところはグッと抑えて、突き抜けてくる時は、誰にも容赦なしに押し退けてくるんだからさ、進化してないわけがないんだよね。

そりゃさ、ヒーセのベースへのこだわりは流石によくわからんけど、たぶんそーいうのが効いてるんだと思うし、「I don't know」聴いてると、同じようなベースラインを繰り返すけど、それが菊池兄弟の音をガンガン押し上げてくる感じでさ、ホント、あんたがオレのベースの師匠だよ(まだ弾いてないけど…)。

こんなメンバーが出す音に乗っかって唄うロビンちゃん(♂)・・・幸せもんだよねー。

少なくとも旧イエローモンキーでは、、、きっと、解散してなかったら出せなかった音だと思うなっ。
ホント、解散したことに意義はあったなって思えるアルバム(になって一安心)。


って、ことで、この際だからバンド名を「新生イエローモンキー」に変えろ。

アルファベット表記は「The Yellow Monkey」でいいからさ(願)。

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